翌8月20日朝、五所川原はどんよりとした暗雲が垂れ込める天気で今にも雨が降りそうな雰囲気。天気予報では、津軽地方は午前中雨で、そののち午後から晴れてくるらしい。期待をもって最終訪問地、弘前へ向かう。
<五所川原駅舎>
<早朝の五能線 青森、弘前行4両編成 五所川原駅跨線橋より>
朝の五能線普通列車(キハ40とキハ48)は、珍しく4両編成。「タラコ」も1両含まれている。途中、川部で分割され前2両が青森へ、後ろ2両がスイッチバックして弘前へ向かう運行となる。
弘前付近に差し掛かると、土砂降りの大雨になった。一面にリンゴ畑が広がっているようだが、豪雨でろくに見えない。津軽富士と言われる岩木山も雨雲で覆われていて、その全貌を見ることはできない。
<雨の弘前駅構内>
<運休のリゾートしらかみ2号、青池編成>
弘前駅に着くと、案の定、五能線の運行に支障が出ており、秋田行きの「リゾートしらかみ2号」が運休というアナウンスが流れていた。
<弘前駅ビル>
とうとう「リゾートしらかみ」まで運休になってしまったかと思ったら、改札口で中年男性が駅員に運休の不満をぶちまけ、駅長を出せー!と大声で騒いでいる。かなりしつこい様子だが、いくら文句を言っても悪あがきにしかならない。まったく情けない行為である。
<弘南鉄道 弘南線 弘前駅>
弘前の私鉄は、弘南鉄道だが、2路線あり、そのうち弘南線が弘前駅から黒石まで走っている。旧東急で活躍していた車両を見る事ができたが、今回は残念ながら乗る時間はなかった。もう一つは、市内の別の場所にある中央弘前駅から大鰐(おおわに)温泉まで大鰐線というのが走っている。
<弘前は、ちょうど公開上映中の「奇跡のリンゴ」の舞台で、映画の写真展が開催されていた>
10時を過ぎると、雨も上がり薄日が差してきた。これはラッキーだ。弘南バスで弘前城跡に到着。
有名な桜並木は、ソメイヨシノに枝垂れ桜も含まれており、ものすごい本数である。これらが全部咲き誇ったら、さぞかし春は素晴らしい光景になるのだろうなあと想像するしかないのが空しい。
弘前城の天守は、1627年に落雷により焼失して、江戸末期に城内の櫓(やぐら)を移設したものらしい。それでも「現存12天守」のひとつとして、威容を誇ったりっぱなものである。今まであまりなじみのなかった津軽藩のこと、初代藩主津軽為信からの長い歴史をほんの少しだけ知ることができた。
弘前城は、平城(ひらじろ)のため、私の好きな石垣があまりないのが残念だったが、隠れお城マニアとしては、またひとつ新たなお城を訪問することができて少々満足。
<E5系はやぶさ、新青森駅にて>
弘前駅前で昼食後、弘前から奥羽本線で新青森へ向かい、東北新幹線E5系「はやぶさ」の快適な走行300km/hで帰路に着いた。
今回の旅では、五能線の海岸風景の素晴らしさが印象に残った。特にあきた白神-岩舘や、深浦-広戸間にある行合崎(ゆきあいざき)の海岸線の奇岩群は、異様とも思えるほどの絶景だ。
<行合崎の奇岩群絶景>
今度訪れるときは、じっくり五能線を撮影だけに集中してみたいものである。