胃カメラの検査を正式にはこう呼ぶらしい。
昨年の人間ドックから早1年経過。そろそろ受けなければと、ふと検査結果を眺めていたら、胃部X線撮影で一部観察不能領域があることを指摘されていたことに今頃気がついた。
毎年受けている人間ドックでは、胃カメラが経口しかなく、私はそれがいやで、バリウムを飲むほうの胃部X線検査に逃避していた。
この際、せっかくだから3年ぶりに胃カメラ検査をしてみるかと思い、消化器内科クリニックで、鼻から通す内視鏡検査を受けることにした。
私は3年前、別の内科で経鼻胃カメラ検査を受けたが、快適な検査で、のど通過時の嘔吐感が全くなく、それ以来、胃カメラと言えば経鼻をまず考える。
しかし、経鼻内視鏡にはデメリットがある。光ファイバー径が小さいため、視野が狭いうえ、光量も弱く、CCDの画素数が少ないため解像度が経口に比べてやや低く、異変部位の検出率が劣る。デジカメの画素数と解像度の関係と全く同じである。
ところが、内視鏡トップメーカーのオリンパスは、NBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)システム内視鏡なるものを開発。NBIというのは、光の波長による粘膜での反射率の違いを利用して、緑と青の(狭帯域)短波長側の光で粘膜表層の毛細血管模様を強調表示して、早期がんの検出をしやすくするというもの。今まで私が知っていたのは、観察中疑わしいところにヨード液をかけて(食道ヨード染色)見えやすくするというものだったが、看護師さん曰く、これはヨードで内蔵を荒らすのでよくないとのこと。
3年前に開業し、このNBI内視鏡を導入しているこのクリニックで検査を受けることにした。山梨大学医学部附属病院で20年以上内視鏡検査をされていた先生だ。
経鼻内視鏡検査は、鼻から注入する粘液質の麻酔液が喉を通る際にかなり苦いこと以外、なんら苦痛がないのは本当に助かる。口が自由なのでカメラの画面を見ながら、先生と話もできる。また、ここでは胃の動きを止める筋肉注射を行わないので、検査後1時間待たずにすぐ帰ることができる。そういえば、前回受けた際には、かなり痛い筋肉注射を肩にされて、検査を終わっても目がぼうっとしていた。なかなか帰してくれなかったが、あれは麻酔の切れるのを待っていたのではなかったかと今頃納得した。
先生は食道、胃、十二指腸を行きと帰りの2回観察しながら説明してくれて、写真をバチバチ撮っている。LANでつながっていて、あとで診察室のパソコンで説明を受けながら見られるというシステムだ。
さて、肝心の検査結果だが、食道、胃、十二指腸とも、粘膜は概してきれいで特に問題なし。ほんの一部分、胃液による逆流性食道炎が見られたが、違和感さえなければ、治療の必要なしとのこと。私は、まったく胸焼け等はない。
血液検査で行ったピロリ菌の検査。3年前は、胃液から検出する方法で行ったが、血液検査では、ピロリ菌の抗体を検出するのだそうだ。その結果、私にはピロリ菌はいなかった。
ピロリ菌は、まだ感染経路が完全には解明されていないが、最近いろいろな研究でわかってきたようだ。井戸水の飲用が原因とされ、幼児期の衛生環境や、親からの口移し等で感染するらしい。それを過ぎると感染しないという。なぜなのか、疑問だ。50歳以上で50%、高齢者では80%の感染率で、若い世代のピロリ菌保有者は20%程度と低いそうだ。
1週間抗生物質の服用することで、8割の人が除菌できるが、耐性のある菌だと除菌できない場合もあり、さらに別の抗生物質を服用し9割の人の除菌が可能となるそうだ。
今年の7月から、内視鏡検査と併せてピロリ菌検査をして菌保有が分かった場合、胃炎の症状がなくても除菌に保険が適用されるようになったので、是非、胃がん早期発見のためにもセットでの検査をお勧めしたい。