大学のギタークラブOB演奏会も回を重ねて今年第20回を迎えた。よく続いているものだ。今年は9月22日(日)の午後、キャンパス内の会館ホールで開催された。
独奏、重奏、そして合奏の演奏で、日頃の練習成果を演奏披露するのだが、我々の出演する合奏は、今回はボサノヴァをテーマとして4曲演奏した。今まで、ボサノヴァは、リズムが難しいので敬遠してきたが、いつものメンバーの演奏能力から判断して、今年は取り組むことにした。
独奏者は10名、現役はクラブ部長が演奏を披露する。それに三重奏1組(タンゴを3曲)、休憩を挟んで現役合奏、OB合奏がプログラムに設定された。
今回は、このあとにいつもとは異なるスペシャル演奏が用意された。新進気鋭の若手プロの招待演奏だ。マンネリからの脱却の一環として役員会で検討し実現したものだ。OB会員と縁があって、7月にCDデビューしたばかりの小暮浩史さんに演奏を依頼することができた。
さて、演奏会は独奏から始まったが、最近はOB会員の中に努力の結果、高い演奏レベルに到達し、アマチュアギターコンクールに総合優勝する方や、プロを目指しオーディションに合格してスペインへ修業に出る方まで現れてきた。実に喜ばしいことで、素晴らしいと思う。今回は、その2名の演奏も聴くこともできた。
8月に開催された第5回中部日本アマチュアギターコンクール(名古屋市で開催)に総合優勝したYukioちゃん(Woodpecker-Mと同期)は、2曲演奏した。
まずは指慣らしか、F.タレガ作曲の「ラグリマ」。初心者もよく弾く小品だが、これをまともな作品としてきちんと弾ける人は実は少ない。これを彼はなかなか見事に弾きこなした。旋律ラインと伴奏部の弾き分け、旋律の丁寧なアーティキュレーション、第2テーマとの対比など、素晴らしい音楽的表現であり、それを演奏に反映させる余裕の技量を有していた。
メイン曲のN.コスト作曲「アンダンテ 作品39」これも同様だ。よく歌い演奏者が何を表現したいかがよく伝わるので、聴いていて楽しくなる。ここ数年、ホールのコンサートに出演したり、何度もコンクールに挑戦した成果が見て取れる演奏だった。
合奏は、8月と9月の日曜日に行った2回の練習会で仕上げなければならず、なかなか苦しかったが、なんとかボサノヴァの体裁が整えられた演奏に仕上がった。しかし、なかなか合奏全体が一体となってリズムに乗るのは難しい。
独奏は、ギター教室などで先生について指導を受けている方は、音がしっかりしていて、曲がよく弾きこなされており、音楽として聴き手に伝わってくる。先生や他の人に聞いてもらい、いろいろと指摘を受けることが向上につながっていると思う。
楽しみにしていた招待演奏の小暮浩史さんの演奏。
7月発売のデビューCDをすでに購入して聴いていたので演奏はわかっていたのだが、生の演奏は、多少の荒々しさがあるものの、CDを上回る説得力で迫ってきた。オーソドックスなクラシカルな曲よりも、特に中南米系(キューバ、アルゼンチン等)の曲では、特にセンスが光り、備わった演奏テクニックを駆使し十分表出しており、大いに楽しませていただいた。
他のOB会員からも様々な賛辞が多くあり、初めてOB演奏会として、プロギタリストを招いて演奏を聴く機会を持ったことは成功したのではないだろうか。
来年の合奏曲のネタをどうしょうかと思い始めたとき、Yukioちゃんからタイムリーな提案を受けた。以前CDをいただいていた武満徹の歌曲集(武満徹ソングブック)の曲目からセレクトしてはどうかという話。私もこれは面白いかもしれないと思い、早速CDの曲目を吟味することにした。
武満徹と聞くと、大抵は不可解で無機質に聞こえる現代音楽を想像してしまうが、歌曲や合唱曲は、なかなかゆったりと楽しめる佳曲が揃っている。さっそく選曲し、腰を落ち着けて編曲に取り組むことにしよう。