胃カメラの検査を終えた1週間後の9月下旬の土曜日、毎年恒例の人間ドックをWoodpecker-Mとともに受けた。
今年は、胃の検査を先に済ませたので、バリウムを飲んで胃部X線検査をすることがなく、昼食をおいしく食べられた事が本当によかった。バリウムを飲んだ直後の昼食ほど気持ちの悪いことはないのだ。
さて、その結果、今回初めて意外なことを指摘され驚いた。眼底検査の項目で検査成績表には意味不明な文字が書かれていた。
「両乳頭陥凹疑」 この暗号のような文字列はいったい何だろう?
これを解読するとこうなる。「両目の眼球内で、視神経の集まる乳頭部分(盲点のところ)が凹んでいる疑いがある。」という意味で、それがどーした?というのだろう。
しかし、よく調べてみると、のん気にどーした?などと言ってる場合ではないことに初めて気が付く。進行すると次第に失明に至る「緑内障」の可能性があるという意味であることがわかり、愕然とした!
いろいろ調べて、この検査結果と緑内障の因果関係を少し理解した。視神経を束ねる乳頭部分が陥凹する(へこむ)と、そこが圧迫され、網膜に張り巡らされた視神経が機能しなくなるのだ。つまり視野で見えないところが生じてくるという事になる。これは恐ろしい。
緑内障の原因は、眼圧が高いことであることが分かったが、眼圧が高いと視神経乳頭部分が凹むという関係にある。眼圧とは、目の内部の房水の圧力である。
ところが、私の眼圧の測定値は正常範囲内であった。しかし、正常眼圧でも緑内障になる人も多いらしい。これがなぜなのかが、私にはよく理解できない。
添付されていた指示書には、「眼科で精密検査を受け、視野検査を行ってください」と記されていた。
早速、最悪の結果を頭の片隅で想定しつつ、やや憂鬱な気持ちで、眼科へ向かった。わからないことは医師に聞くしかない。
また最初からいろいろな検査が始まった。視力、眼底、眼圧の各検査をしたあと、医師の診察を受けた。光を当ててレンズで視神経乳頭部を観察してもらうと、「右目は確かに少し凹んでますねー。左目は大丈夫です。」とのこと。片目は助かったと思った。両目の失明は深刻すぎる。
緑内障であるかどうかを判定するため、視野検査を行った。この検査は、手間と時間がかかる。視野をどう検出するのかと思ったら、球体の中に顔を突っ込んで、正面1点をまっすぐ見つめながら、球体内部の光る点が見えたらボタンを押すという検査である。球体内で、白いスポット光が視野の周りで点灯していくので、それが見えたらスイッチを押す。点灯ポイントは多く、片目で10分ほどかかり、かなり根気が必要でこれは疲れた。視野のどこが見えるかを検出するのだから、光る点が視界内に多数ないと、データが取れないわけだ。1秒に1回点灯で10分間だから、600ポイントということになる。
その視野検査の結果を見せてくれながら医師の説明を受けた。見えていなかったポイントがドットで示されていた。これをどう読み取るのか?
判定としては、ポイントの分布が、眼底での視神経の分布方向と一致が見られないので、「緑内障ではない。」ということであった。なるほど、やっと視野検査の意味が分かった。ランダムな見えないポイントの存在は、この病気とは無関係という事だ。
私の疑問点、眼圧が正常でも緑内障はなぜ起きるのか?について、先生は、「人によって視神経の眼圧に耐えられるレベルが違い、人によっては弱い視神経の方もいるから」とのことだった。
この結果が出たので、なんとかホッとしたが、歳をとると体の不具合はどこかに出てきて当然だろう。これから、どこがどうなることやら、先が思いやられる。