JR東海は、16年後の2027年に、東京~名古屋開業予定のリニア中央新幹線の中間駅候補地を発表した。ただし、今回は、ほぼ直線の経路と、中間駅を直径5kmの範囲で示しただけで、ピンポイントでの位置は示していない。なお、東京と名古屋の両ターミナル駅については、すでにJR品川駅地下とJR名古屋駅地下が正式決定している。
さて、各駅に停車する超電導磁気浮上式リニアモーター列車は、発車のベルとともに、品川地下駅を出発すると、やがてスピードをあげて、160km/hの速度に達して浮上走行を開始する。多摩丘陵と町田市街地の間を通る地下トンネルのコースを走り、数分の内に、相模原市(横浜線相模原駅周辺か)の地下駅に停車する。
そこから、さらに速度を最高の505km/hにあげ、現在の山梨リニア実験線を通り、品川駅を出てからたった15分で、山梨県甲府市・中央市・昭和町にまたがった地域(JR東海・身延線常永駅・小井川駅・東花輪駅付近)の駅に到着する。
品川駅から山手線外回りで代々木駅まで行く時間で、一気に120km先の甲府盆地まで到達してしまうというのが、なんとも想像しがたい。ほとんど瞬間移動的な感覚ではないか!
そして、南アルプス(赤石山脈)の塩見岳と荒川岳の間を突き抜ける長いトンネルを数分で通り抜け、次は、長野県の伊那谷へ。だが、ここは駅の候補地がまだ決まっていない。一部のメディアが高森町付近と報じたが、まだ地元自治体と協議中で正式発表はされなかった。憶測だが、飯田市が強力に呼び寄せているのではないだろうか。各自治体の綱引きが見え隠れする。
さらにリニアは長野県から西へ、恵那山の北で中央アルプス(木曽山脈)を抜けて、次は、岐阜県の中津川市西部の駅へ。ここは中央西線との連絡を考慮している。そして品川駅から約40分で、終着の名古屋地下駅に到着することになる。
いよいよ、リニア中央新幹線の建設が、ほんの少しだが、現実味を帯びてきた。このリニア中央新幹線は、大阪、名古屋、東京間の高速輸送力の向上と、すでに能力が限界になっている東海道新幹線のバイパス機能を持たせると同時に、老朽化が進む新幹線の保守・修繕のためという目的を併せ持つ。老朽化対策のための大がかりな保守・修繕をおこなうには、東海道新幹線の営業ペースを落としたり、ある程度止めることも出てくると思うが、現状ではとても難しいのが実情だ。
また、JR東海ではこれら中間駅の建設費は、地上駅で350億円を全額地元自治体で負担と主張しているが、赤字続きの自治体がいくつか集まって協力しても、この金額をなかなか出すのは難しいと思えるが、これは今後、交渉難航し相当もめることだろう。
中間駅周辺の人口の少なさと大都市間の高速移動ニーズの大きさからすると多くの列車が、品川-名古屋間ノンストップ運転になるのではないだろうか。そしてその運賃はいくら?といろいろと想定したくなるのが、「鉄」の習性。勝手な想像で楽しんでいる。
リニア中央新幹線、大阪までの延長は、34年後の2045年開業が設定されてはいるが、さて、34年後のそのころどうなっているかの想像は、私にとって、とてもむなしい話だからやめておこう。